この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由ついて論じた部分の要約になります。
戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー
「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑮になります。
●デザイン経営が浸透しづらい理由
なぜデザイン経営が中小企業、BtoB企業、製品を持たない企業に浸透しづらいのか?
- デザイン思考を持つ意思決定者がいないから
- デザイン思考が売上に直結しないから
- 考えのデザインをカタチで表現できないから
という視点で論じてきました。
つまり、ヒト、カネ、モノの視点に原因があるということになります。
●デザイン経営が浸透しづらい理由~ヒト~
ヒトの問題について現実的な面から考察しました。
中小BtoB企業では、
- 社内デザイナーを持つ企業は少ないこと
- 社内デザイナーがいたとしても意思決定に関われる高度デザイン人材は稀有なこと
この2つの現実が浮き彫りになります。
この2つの現実が、デザイン経営宣言の現在の実践要件では不足があると考えました。
経営感覚を持つデザイナーがいない、またはデザインはアウトソースという前提は覆らないとしたうえで新しい要件を導く必要があると思います。
その新たな要件とは?
社内のデザイナーや外部のデザイナーと戦略的な意思決定をするためには、
経営者や経営層がデザイン思考という共通言語(スキル)を持つことであると考えたわけです。
先にも論じましたが、デザインドゥーイングは先天的なスキルに依るところが大きいですが、デザインシンキングは後天的に体得できるスキルと言われています。
従って、これができれば中小企業でもデザイン経営は実践できます。
●デザイン経営が浸透しづらい理由~モノ~
モノの問題について現実的な面から考察しました。
サービスがモノではない事業者にとって、考えのデザインを具現化することが難しいことは前回の投稿「中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~サービス事業者編~」で論じました。
しかし、HITO病院のように顧客接点が何かを考え、顧客接点で考えのデザインを具現化することは現実的であることが分かりました。
BtoBや無形サービス提供事業者であっても顧客接点を丁寧に炙り出し、その接点に考えのデザインを落とし込むことでパーパスや理念を顧客に伝えることが可能です。
もう少し具体的に言うと、“他社との違い”や“拘り”という考えのデザインをカタチにして訴求しすることが競争力になります。
大切なことは、そこに“共感”という重要なトリガーが必要であり、その共感はデザイン思考から生まれるということです。
●デザイン経営が浸透しづらい理由~カネ~
カネの問題について現実的な面から考察しました。
- 売上に直結しない
- 投資効果が見えづらい
この問題は、デザイン経営に限らず広報など経営の特定分野ではついて回る問題です。
なぜならば、経営的意思決定の結果である以上は投資に対するリターン(ROI)を定量的に効果測定することを求められるからです。
この問題をクリアにすることは非常に難しいと言われています。
広報戦略を事例に対策を講じる必要がありますが、論点から外れるため割愛します。
●まとめ
ヒト、モノ、カネという視点から、不足部分を補いデザイン経営を実践してきた中小企業は存在しないのか?
そんなことはありません。
大阪に本社を置くアンダーデザイン株式会社は、デザイン経営の成功事例として非常に分かり易い事例です。
その効果は、増収増益、若手人材採用率5倍アップ、労働生産性は134.4%に上昇しています。
デザイン経営は、中小BtoB企業でも、中小サービス事業者でも、実践できる経営戦略です。そして、競争力の源泉になり、イノベーションを創出する手段のひとつでもあります。
論文は、ここから先が本丸で、アンダーデザイン株式会社のビジネスレビューに突入します。ブログやnoteでは公開しませんが、ご興味ある方はお問合せください。
(続く)中小企業がデザイン経営を実践するために必要な新たな要件