中小企業がデザイン経営を推進するうえでの3つの課題~組織構造編~

デザイン経営の組織構造

デザイン経営を実践するための組織構造について論じた部分の要約になります。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー

中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件の要約⑯になります。

森田昌希プロフィールついてはこちら


●デザイン経営推進への問題と課題

デザイン経営が上手くいかない問題は、

①デザインに関する意思決定が事業部に落ちてしまっていること

②「笛吹けど踊らず」経営層の独りよがり

と考えます。

デザイン経営の問題


①に対する課題は、

デザイン経営を実践するための組織構造の再設計

②に対する課題は、

デザイン経営を継続するための組織文化の醸成

デザイン経営が浸透するための評価システム構築

であると考えます。


●組織構造の設計

デザインに関する意思決定が事業部に落ちてしまっているのであれば、先ず組織構造の改革から取り組みます。

デザイン思考を持つ社内の人材と経営層で意思決定を行うために、デザインに関する意思決定を上位機関に格上げします。

デザイン経営のあるべき姿

そして社外の高度デザイン人材とともに、共感に始まりプロット&テストまでの一連を、アジャイルで進めていく仕組みを上記の意思決定機関に落とし込みます。

もう少し具体的に落とし込みます。

デザインに関する意思決定は以下のように事業部に落ちており、承認機能だけが上位にあることが多いです。

これを以下のように意思決定機関を格上げします。

とは言うものの、構造設計や機関設計は直ぐにできることではないでしょう。


●まとめ

現実的にはプロジェクトからのスタートでも十分です。

しかし、組織構造の出口をイメージしてからスタートするプロジェクトである必要があります。

デザイン経営について、方法論は多く論じられていますが実行には不十分です。

組織構造や評価システムまで設計しておかないと頓挫する確率は上がっていきます。

次のパートで文化論、そして3つ目のパートで評価システムについて論じていきます。


~続く~中小企業がデザイン経営を推進するうえでの3つの課題~組織文化~

中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~ヒト・モノ・カネの視点から~

デザイン経営

この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由ついて論じた部分の要約になります。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー

中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件の要約⑮になります。

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●デザイン経営が浸透しづらい理由

なぜデザイン経営が中小企業、BtoB企業、製品を持たない企業に浸透しづらいのか?

  • デザイン思考を持つ意思決定者がいないから
  • デザイン思考が売上に直結しないから
  • 考えのデザインをカタチで表現できないから

という視点で論じてきました。

つまり、ヒト、カネ、モノの視点に原因があるということになります。

経営資源

●デザイン経営が浸透しづらい理由~ヒト~

ヒトの問題について現実的な面から考察しました。

中小BtoB企業では、

  • 社内デザイナーを持つ企業は少ないこと
  • 社内デザイナーがいたとしても意思決定に関われる高度デザイン人材は稀有なこと

この2つの現実が浮き彫りになります。

この2つの現実が、デザイン経営宣言の現在の実践要件では不足があると考えました。

経営感覚を持つデザイナーがいない、またはデザインはアウトソースという前提は覆らないとしたうえで新しい要件を導く必要があると思います。

その新たな要件とは?

社内のデザイナーや外部のデザイナーと戦略的な意思決定をするためには、

経営者や経営層がデザイン思考という共通言語(スキル)を持つことであると考えたわけです。

デザイン経営の競争力

先にも論じましたが、デザインドゥーイングは先天的なスキルに依るところが大きいですが、デザインシンキングは後天的に体得できるスキルと言われています

従って、これができれば中小企業でもデザイン経営は実践できます。


●デザイン経営が浸透しづらい理由~モノ~

モノの問題について現実的な面から考察しました。

サービスがモノではない事業者にとって、考えのデザインを具現化することが難しいことは前回の投稿「中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~サービス事業者編~」で論じました。

しかし、HITO病院のように顧客接点が何かを考え、顧客接点で考えのデザインを具現化することは現実的であることが分かりました

HITO病院

BtoBや無形サービス提供事業者であっても顧客接点を丁寧に炙り出し、その接点に考えのデザインを落とし込むことでパーパスや理念を顧客に伝えることが可能です。

もう少し具体的に言うと、“他社との違い”や“拘り”という考えのデザインをカタチにして訴求しすることが競争力になります。

大切なことは、そこに“共感”という重要なトリガーが必要であり、その共感はデザイン思考から生まれるということです。


●デザイン経営が浸透しづらい理由~カネ~

カネの問題について現実的な面から考察しました。

  • 売上に直結しない
  • 投資効果が見えづらい

この問題は、デザイン経営に限らず広報など経営の特定分野ではついて回る問題です。

なぜならば、経営的意思決定の結果である以上は投資に対するリターン(ROI)を定量的に効果測定することを求められるからです。

計数管理

この問題をクリアにすることは非常に難しいと言われています。

広報戦略を事例に対策を講じる必要がありますが、論点から外れるため割愛します。


●まとめ

ヒト、モノ、カネという視点から、不足部分を補いデザイン経営を実践してきた中小企業は存在しないのか?

そんなことはありません。

大阪に本社を置くアンダーデザイン株式会社は、デザイン経営の成功事例として非常に分かり易い事例です。

その効果は、増収増益、若手人材採用率5倍アップ、労働生産性は134.4%に上昇しています。

デザイン経営は、中小BtoB企業でも、中小サービス事業者でも、実践できる経営戦略です。そして、競争力の源泉になり、イノベーションを創出する手段のひとつでもあります。

論文は、ここから先が本丸で、アンダーデザイン株式会社のビジネスレビューに突入します。ブログやnoteでは公開しませんが、ご興味ある方はお問合せください。

(続く)中小企業がデザイン経営を実践するために必要な新たな要件

中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~サービス事業者編~

デザイン経営とサービス業

この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由ついて論じた部分の要約になります。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー

中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件の要約⑭になります。

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●キーワードデザイン経営/無形サービス/イノベーション/カタチのデザイン/考えのデザイン/パーパス

●サービス事業者の特徴

プロダクトを持たない中小サービス事業者のデザイン経営にフォーカスしてみました。

まずサービス事業者の特徴について触れておきますと、顧客に提供する便益が無形であることです。

無形サービスが有形サービスと異なる点は、

・形がない(無形性:intangibility)

・生産と消費が同時(不可分性:inseparability)

・品質を標準化することが難しい(異質性:heterogeneity)

・保存ができない(消滅性:perishability)

・いつ?だれに?(変動性:heterogeneous)

といった特性がある言われています。

これらの特徴が考えのデザインを顧客接点に落とし込みづらい原因になっていると仮説を立てました。

IDEOのCEO であるTim Brown(2009)は自著でこのように言っています。

デザイン思考が世界を変える

サービス業でイノベーションが遅れをとっている問題は、サービス業が扱うのは人間であるからだ。(中略)サービス業は極めて複雑な原理に基づいている

Tim Brown2009,『デザイン思考は世界を変える』,p.221.

デザイン経営とイノベーションについては先に論じておりますので以下をご覧ください。

デザイン経営とイノベーション


●カタチのデザインと考えのデザイン

では、考えのデザインを落とし込む自社製品を持たない企業にとってのデザイン経営によるゴールとは?

それは複雑な原理で構成された限定的な顧客接点のなかで企業のパーパスや理念を伝えることで選ばれ続ける(競争優位)ことになります。

しかし、重要なこととして最終消費財にしか考えのデザインを落とし込めないことはないとも論じられています。

これからのデザイン経営

デザインはカタチを整えるだけのものではありません。企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志、そのような思いを具体的なカタチに落とし込み、それをあらゆる顧客接点において一貫したイメージとして伝えていくことで他の製品やサービスには代えられないブランドを作り上げることができます

これからのデザイン経営(永井,2021,p.22.)

よって、永井(2021)の論理を借りるのであれば、独自製品を持たない企業であっても考えのデザインを製品以外の顧客接点に落とし込むことでデザイン経営を実践することは可能であることになります。


●残された問題

愛媛県のHITO病院は、顧客接点である空間と従業員の制服や診察券など細部に至るまでパーパスや理念を落とし込むデザインを施しました。

HITO病院

“美術館のような寛げる空間で家族同様の患者と共に考える”

という考えのデザインをカタチのデザインに落とし込むことで、地域の病院との差別化、そして、優秀な医療従事者の確保という具体的な2つの目標を達成しています。

商材を持たない事業者であってもデザイン経営が成り立つことを立証している良い事例と考えます。(HITO病院のWEBサイト)

ただ、BtoB企業と同様に“企業理念をカタチのデザインに落とし込んだから患者が増えた”という直接的な因果関係を証明することは難しいことも事実として受け止めておきたいところです。

この投資効果を計測することの難しさがデザイン経営の浸透を阻む最も大きな壁であることは感じていただけましたでしょうか。

次の投稿では、ヒト、モノ、カネ、の視点からデザイン経営の実践が難しい点にフォーカスします。

(続く)中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~ヒト、モノ、カネ~

中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~BtoB企業編~

この投稿は、デザイン経営がBtoB企業では導入しづらい理由ついて論じた部分の要約になります。

ここまでは、中小企業の組織構造上問題点がデザイン経営の成功を阻害するという論点でした。

ここからは、企業規模に関わらずBtoBやサービス業もデザイン経営を導入しづらい理由があることについて論じていきます。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑬になります。

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●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/BtoB/サービス業


●BtoB企業に浸透していない事実

先に論じたように、デザイン経営の成功事例はBtoC企業に偏っています。

それはなぜか?

その理由を明確にし、原因を潰す対策を新たな要件として加えればデザイン経営はもっと浸透していくと考えています。

実際に、デザイン経営宣言の成功事例集を読んでも、大企業やBtoC企業の事例が殆どを占め、99.7%を占める中小企業の事例が殆どありません。

デザイン経営宣言

●BtoBとBtoCの違い

なぜデザイン経営はBtoB企業に浸透しづらいのか。

結論から言うと、BtoB企業におけるデザイン経営は売上に直結しないからです。

デザイン経営

その理由をBtoBとBtoCの根本的な違いに求めにいきました。

BtoCとBtoBの最も異なる点はなんでしょうか?

顧客が個人か法人かですね。

つまり、個人と法人の購買行動や行動心理の先行研究から異なる点を比較してデザイン経営の関与度を見ました。

個人:短期、機能and情緒、少人数、情報量少ない、接点多い

法人:長期、機能>情緒、大人数、情報量多い、接点少ない

BtoB事業は顧客が法人のため購買行動に以下の特徴があります。

・長期

緊急を要しない限り、年次の予算と計画で必要なものを検討し購入(導入)へ至ります。衝動買いという概念がありません。

・機能

必要な情報を多く集め、論理的に比較検討します。価格だけでなく、納期、調達先の企業情報、実績、テスト導入など定量的な情報を多く集め論理的に評価します。

・情緒

「パッケージがカッコいいから思わずカゴに入れた」はほぼ起こりません。価格、納期、実績など定量的な条件を満たしていないサービスをデザインのみで衝動的に導入することは殆どないと言えます。BtoCのマーケやブランディングでは重要視される情緒的価値が意思決定のトリガーになりにくい特徴があります。

・人数

法人の意思決定には複数の承認が必要で意思決定が多層構造であること多いです。そのため情緒的価値が薄れていきます。

隠れたキーマンを探せ

マシュー・ディクソン氏(2018)の調査によると、企業の購買関与者約3,000人に対して行った調査で平均5.4人が意思決定に関わっているというアンケート結果があります。

・情報

論理的な比較と承認のため多くの情報を求めます。意思決定が長期に渡るのは集める情報が多いからです。

この集める情報が多いという点が、デザイン経営導入の突破口になります。

逆説的ですが分かりやすい例えを入れておくと、お取り寄せグルメを買うときに会社概要や沿革や販売実績など企業情報を隅々まで見る人は少ないのではないでしょうか。(※ここでは買回り品を比較対象としています)

デザイン経営とは

・接点

購入者は多くの情報を求めるが接点それ自体が少ないという特徴がBtoBには見受けられます。販売している法人が少ない、簡単に取引が開始できない、など取引の接点が少ないんですね。

接点が少ないところで多くの情報を集めるというBtoBの特徴がデザイン経営導入の突破口になります。


●まとめ

BtoBの意思決定における隠れた特徴をまとめますね。

計数管理

意思決定のプロセスが論理的に実行されるということは、

限られた接点のなかで取引企業の情報を多面的に収集するということです。

顧客との接点は少ないが接する時間は長いことが特徴と言えます。

この投稿ではデザイン経営を導入するための要件ではなく、問題点を明確にする部分を論じているため問題点にフォーカスしています。

BtoBにおいて、コーポレートサイト等から信頼性や理念への共感があったとしても直接的に取引のトリガーになったかどうかの確認がしづらく、デザイン経営による成果が売上に直結していることを証明しづらいことが大きな問題点なのです。

この投資効果を計測することの難しさがデザイン経営の浸透を阻む最も大きな壁であると感がました。

次の投稿では同様にサービス業での問題点を明確にし、中小企業、BtoB、サービス業を、リソース軸で問題対策していきます。


(続く)中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~サービス事業者編~

辛子明太子とオープンアーキテクチャ

オープンアーキテクチャ

大学院(MBA)で、オープンアーキテクチャの成功事例として辛子明太子を取り上げました。

その特徴とメリット・デメリットについて論じた課題を3分で読めるボリュームに要約しています。

辛子明太子の拡販成功については諸説あるが、本論は最も有力とされている株式会社ふくや(福岡県福岡市博多区に本社)の創業者である川原氏による事例をベースにしています。

●キーワード

オープンアーキテクチャ/商標/特許/プロセスイノベーション/プロダクトイノベーション/

———-index————-

①はじめに

②特徴

③メリット

④デメリット

⑤まとめ


①はじめに

辛子明太子の食品としての起源や歴史や背景などの解説は割愛するが、“漬け込み型辛子明太子”を普及させたのが株式会社ふくやの創業者である川原氏ということらしい(「福岡県における製造業のローカルな経営戦略」今西・中谷2008年)。

株式会社ふくや

1970年代に明太子市場が一気に全国展開したのは山陽新幹線の開通が大きな機会となったと言われています。出張にきた関東圏・関西圏のサラリーマンのお土産品として重宝されたそうです。


●特徴

“漬け込み型辛子明太子”が普及したのは、川原氏がその製法をライセンス化せず無償で公開したからと言われています。製法どころか、調味料の仕入れ先を紹介し、保存のノウハウなど10年以上も開発してきて得た情報や無形資産を惜しげもなく同業者に公開したらしいです。

競合

資本を投入しても獲得することの難しい模倣困難な経営リソース(無形資産)を惜しげもなく提供するということは、ここまで大学院や中小企業診断士受験で学んできた”競争優位”の理論を全てひっくり返すような戦略となり狼狽してしまいます。しかし、オープンアーキテクチャという理論から捉えると、その戦略の全貌が見えてきました。

競争優位

このオープンアーキテクチャ戦略により市場は九州を中心に全国まで瞬く間に広がっていきました。今では市場規模1,200億円まで発展しています。

製法を公開したエピソードについて掘り下げていきます。

機会を得て売り上げが伸び始めた頃にふくやの社員たちは、「商標登録や製法特許を取るべきだ」と訴えたらしいです。

それに対して川原氏は、「そんな必要はない」と即答したらしいです。

漬物を引き合いに出し「漬物にはさまざまな味がある。同じ大根でも白菜でも、漬け方ひとつで味は変わる。家庭ごとでも味が違う。そんな漬物に商標はあるか? 製法特許はあるか? 明太子だって誰が作ってもいいではないか」と説いたとのこと。この川原氏の方針で、一種の産業クラスターが起こり、地域ブランドが確立されたのではないでしょうか。


●オープンアーキテクチャのメリット

次に辛子明太子の事例で、オープンアーキテクチャのメリットを論じていきます。

まず、“漬け込み型辛子明太子”の製法やノウハウを無償で公開することで、単純にプレイヤーが増えていきます。プレイヤーが増えることは市場の拡大を意味します。全国的な有名店も複数ありますが、九州で有名な事業者も多くいることが分かります。マーケを担当していると痛いほど身に沁みますが、新しい市場を創造するには認知活動コストと時間的コストが大きな負担になります。そのコストパフォーマンスを考慮すると参入障壁を無くしプレイヤーを増やすというのはマーケ戦略的に有効と言えるのではないでしょうか。

マーケティング

次に、プレイヤーが増えることで“知識の結実”が見受けられたことをメリットにあげます。

先にも述べたように味自体はインテグラル化され独自の歴史的背景に基づくもので、プレイヤーが独自性を出すことで競争の原理が働きプロセスイノベーションが起きていると言えます。

イノベーション

●オープンアーキテクチャのデメリット

次に辛子明太子の事例で、オープンアーキテクチャのデメリットを論じていきます。

フリーライド(ただ乗り)する模倣企業は、開発コストを負担することなく市場に参入できてしまうことでしょう。

“漬け込み型辛子明太子”についても当然同様の現象が起こった、というより川原氏は意図的にフリーライドを歓迎したのではないでしょうか。デメリットを逆手に取る意図があったのです。“元祖ふくや”として既に全国的にもブランドが認知されているため、オープン化戦略の課題「どこから利益が出るか」について戦略的に明確となっていました。


●まとめ

最後に元祖ふくやの今後の課題について考察しています。

デザイン経営の効果

オープンアーキテクチャ戦略での懸念事項としては、

コモディティ化と価格競争

があげられます。

市場が成熟しているところからもコモディティ化は進んでしまっていることわ分かりました。しかし、元祖ふくやでは先にも述べた通り高級路線への研究開発に積極投資を起こっています。また、贈答用、減塩タイプなど市場のニーズや環境変化に合わせた製品戦略を取っていることも今回の調査で分かりました(プロダクトイノベーション)。

つまり、コモディティ化と価格競争への対策は戦略的に実行されている。

対策

ただ、今後の課題について気になる点が一つありました。

広報(SNS)対策が進んでいないところが今回の調査で分かりました。例えばTwitterをご覧いただくと分かりますが、アビスパ福岡の公式アカウントかと見まがうほど統一性がなく“元祖ふくや”としてのブランド認知のために活用されている状況ではありませんでした。

オープンアーキテクチャ戦略のメリットとデメリットを把握したうえで、組織的な広報戦略(SNS戦略)を立てる必要があると考えます。

以上

中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~デザイン思考~

デザイン思考

この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由が組織構造上にあることについて論じた部分の要約になります。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー

中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑫になります。

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●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/中小企業/BtoB/デザイン思考/デザインのアウトソース


●デザイン経営の実践要件

しつこいですが、デザイン経営の実践要件は大きく言うと2つあります。

  1. 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること
  2. 事業戦略の最上流からデザインが関与していること

前回の投稿では、社内に経営感覚を持つデザイナーを抱えることは現実的でないためアウトソースで充分なのだが、デザインに関する意思決定が事業部に落ちてしまっている問題点を指摘しました。

デザインに関する意思決定には上流から関与する必要があり、

そのためには経営層が外注先や事業部との共通言語を持つ必要があることを提唱しています。

デザイン思考

●中小企業に浸透しづらい理由_デザイン思考

デザイン的意思決定を経営の最上流に移行する場合に必要なツール、それが経営層と事業部と外注先の共通言語となるデザイン思考です。

※デザイン思考についての要約はこちら

しかし、直ぐに大きな問題に直面します。

中小企業の経営者や経営層はデザイン思考というスキルを持っていないことが多いです。

また、中小企業経営にデザイン思考が効果的であることの実感はまだまだ薄いです。

ただ、デザイン思考とは先天的なスキルではなく、後天的に誰でも体得できるスキルであることは以前にも論じている通りです。

研修などで経営層と部門長が体得していくことは十分可能です。

教育だけでは不十分です。それなりに組織や評価制度のマイナーチェンジが必要です。


●3つの準備

デザイン思考を組織的に学び、組織的に活用していくためには準備が必要です。

  1. 教育
  2. 組織構造
  3. 評価

1.デザイン思考の教育・研修を、経営層と事業部責任者(外部研修を活用)で実施する。

2.組織構造を部分的に変更する。具体的には、デザインに関する意思決定を上位機関に格上げする。そして、意思決定機関で共感に始まりプロット&テストまでの一連をアジャイルで進めていく仕組みを準備します。(※研修で学んだ仕組みを意思決定機関に落とし込む)

3.評価制度を変更する。既存の人事評価のままでは事業部にインセンティブが働きません。定量的に評価しないことを前提とする枠組みでプロジェクトを組む必要があります(最大の難所)。

ハードル

簡単ではないです。

簡単にデザイン経営は実践できません。

だって、競争優位を組織的に獲得する術なのですから。


●まとめ

ここまでは、なぜ要件を満たすことができないのか?

最後に、どうすれば要件を満たすことができるのか?

そして必要な組織的な準備について論じてきました。

デザイン経営の疑問

言葉にすると簡単ですが、実際は困難です。さらに、事業特性も加味して実行するのは非常に困難です。
更に深堀りするため、次の投稿では「BtoBでは?」「サービス業では?」という視点で論じていきます。


(続く)

~BtoB企業でデザイン経営が浸透しづらい理由~

中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~デザインのアウトソース~

デザインのアウトソース

この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由が組織構造上にあることについて論じた部分の要約になります。

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中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑪になります。

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●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/中小企業/BtoB/デザイン思考/デザインのアウトソース


●デザイン経営の実践要件

前回の投稿と重複しますが、おさらいしておきます。

  1. 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること
  2. 事業戦略の最上流からデザインが関与していること

(経産省デザイン経営宣言より)

デザイン経営

前回の投稿では、中小企業の実情を踏まえると上記の要件を満たす中小企業が極めて少ないこと、そして、デザインに関する意思決定が事業部とアウトソースによって行われていることについて論じました。

実情に寄り沿いながら、どうすれば要件1と2をを満たすことができるのか?このアプローチからデザインのアウトソースそのものを見直し、次回の投稿では中小企業でもデザイン経営を実践できる新たな要件を導きます。


●中小企業に浸透しづらい理由_アウトソース

「経営感覚を持つデザイナーが社内にいない」

「そもそも社内にデザイナーがいない」

デザインスキル

リソースを最小限で経営する中小企業では珍しくありません。自然と「デザインは社外にアウトソースする」となります。

重要なのは、誰がアウトソースするか?です。

皆様の会社で考えてみてください。デザインを外注する部門ってどこになりますか?マーケやプロモーションやセールスだと思うのですが、それぞれにデザイン人材を抱えることが難しいので作業として外注している会社が多いのではないでしょうか。

デザインの外注

つまり、デザイナーとの接点が各部門にありデザインの意思決定が事業部に落ちてしまっている状態です。

「②事業戦略の最上流からデザインが関与していること」

2つ目の要件がここで大きなポイントになってきます。

デザイン経営で高い競争力を持つためには、事業部の業務的意思決定によるデザインではなく、経営の戦略的意思決定によるデザインを選定することが必要なわけです。

「経営戦略があって、事業戦略が決まり、実行のために必要な成果物(デザイン)を創造(発注)する」という一連のなかで、創造(発注)に経営層が関与する必要性を言っています。

ところが実際の声はどうでしょうか?

経営層「センスに自信がないしデザインの事は分からない。方針を現場に伝えるまでが私たちの仕事だ。」

事業部「忖度なしでターゲットに刺さるデザインを採用したいんだけどなぁ。」

外注先デザイナー「偉い人が出てくると、言っていることが抽象的過ぎてよく分からない。」

デザイン経営の難しさ

全ての中小企業が同じとまでは言いませんが、

軒並み同じようなリアクションではないでしょうか。

では、あるべき姿がどうであるかを先に言うと、

経営層「当社の存在意義(パーパス)を参照したデザインになっているか知りたい。」

事業部「存在意義や理念や方針を理解するだけでなく、ユーザーにとってのバリューと紐づけ言語化して外注先に伝えるのが役割だ。」

外注先デザイナー「言語化されたクライアントの存在意義に寄りそったカッコいいものを納品したい。」

になるような条件を整えてやる必要があるということです。

デザイン経営

理想を掲げるのは簡単なので、どうやればあるべき姿に到達するかを論じる必要があります。3者が意思疎通するために何が必要なのか。


●まとめ

経営層と事業部と外注先が、意思の疎通を図るためのツールが必要になってきます。

それがデザイン思考になると私は考えています

次の投稿では、デザイン思考の必要性と、デザイン思考を実践するための組織的な必要条件について論じていきます。

※デザイン思考そのものについて論じた要約はこちら

(続く)中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~デザイン思考~

中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~CDO~

デザイン経営の組織

この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由が組織構造上にあることについて論じた部分の要約になります。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑩になります。

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●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/中小企業/BtoB/CDO/これからのデザイン経営/デザイン思考/デザインのアウトソース


●デザイン経営の実践要件

2つありましたのでおさらいしておきます。

⑴ 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること

⑵ 事業戦略の最上流からデザインが関与していること

デザイン経営

前回の投稿でも論じましたが非常にハードルが高いんです、中小企業にとっては。

実際に経産省のデザイン経営宣言の成功事例集をでも大企業やBtoC企業の事例が殆どを占め、99.7%を占める中小企業の事例が殆どありません。この違和感を無くし、中小企業でもデザイン経営を実践し、産業競争力を強化して初めてデザイン経営は社会に浸透したと言えるのではないでしょうか。

なぜ要件を満たすことができないのか?

どうすれば要件を満たすことができるのか?

デザイン経営

この2つのアプローチから中小企業でもデザイン経営を実践できる新たな要件を私の論文で導きました。


●中小企業に浸透しづらい理由_CDOの存在

デザイン経営が中小企業に浸透しづらい理由は、デザイン経営の実践要件1と2を満たすことが難しいからです。

ものすごくシンプルです。

⑴ 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること

中小企業でお勤めされた経験がある方なら分かると思いますが、CDOがいる中小企業なんてあります???

「経営感覚を持つデザイナー」と表現されていますが、そんな方が中小企業にいらっしゃいます???

(※「キーパーもできるストライカー」が昔の鹿児島実業にいたのを思い出しました)

デザイン経営

デザインを主幹業務とする会社を除けば、経営層にデザイナーがいる中小企業は稀有であると言い切っても良いと感じます。経営感覚を持つデザイナーと表現されるような高度デザイン人材を中小企業が保有することは、現実的ではないと感じてしまいます。

このような高度な人材を採用するどころか、

中小企業ではデザイナーを自社に抱える余裕さえないのが現実です。

これからのデザイン経営

「宣言では社内にデザイン部門を抱えるメーカーなど大企業を想定していました」

(永井,2021,『これからのデザイン経営』p.85.)

と足らずであったことを永井氏(2021)も自著で顧みています。


●まとめ

社内にデザインに関する意思決定を行える高度人材がいない(採用できない)ことを前提とすれば、そのリソースを社外に求めることになります。

しかし、作業を外注するという成果が重視され、プロセスは軽視されがちなのが現実と考えます(経験談)。

デザインをアウトソースしつつデザイン経営を実践するための要件は何か?を次の投稿で論じていきます。

続く~中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~デザインのアウトソース~

デザイン経営の成功事例と現実のギャップ

デザイン経営の成功事例

この投稿は、デザイン経営宣言におけるデザイン経営の要件と、要件を満たす事例企業のついて論じた部分の要約になります。

デザイン経営を実践するための要件を押さえ、中小企業やBtoB企業でデザイン経営を実践しづらい理由について論じていきます。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー

中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑨になります。

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●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/CDO/MFA/デザイン責任者/クリスチャン・ベイソン/マツダ/キヤノン/ヤマハ発動機/NEC


●デザイン経営の実践要件

デザイン経営宣言では、デザイン経営を実践するための要件を以下2つに整理しています。

⑴ 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること

⑵ 事業戦略の最上流からデザインが関与していること

もうこの時点で「そんなこと簡単に言うなよなw」

て感じた方も少なくないと思いますが、いったんスルーします。

●デザイン責任者

確かにCDO(Chief Design Officer)の存在や、MFA(美術学修士)の名称を目にする機会が増えています。

MBAからMFA

しかし、ポピュラーであるとまでは言えず、2021年現在の日本では、経営層ではなくマーケティング部門の中にデザイン責任者がいることが多く、業務的意思決定の範疇にデザイン責任者の椅子は置かれていることが多いのではないでしょうか。

デンマークデザインセンター

デザイン責任者が経営層にいるかマーケ部門にいるかという組織構造上の差異が競争力の差異になることを指摘しているのがデンマークデザインセンターCEOのクリスチャン・ベイソンでです。

●要件を満たしているケース

①デザイン責任者の座り位置

意思決定機関にデザイン責任者の椅子があるケースをご紹介します。

MAZDA

マツダでは2016年にブランドスタイル統括部という部門を新しく設置しています。

メディアと販売店を通じて外部に出る魂動デザインの伝播を統制することを試みたわけですが、自動車業界において本体が販売店などマーケ施策に関与することは珍しく強い反発があったらしいです。

しかし、マツダの前田常務執行役員はデザインの意思決定を販売店に任せず、マツダ本体の統括部で意思決定を行うことに強く拘ったそうです。

その結果、マツダの魂動デザインは販売店を巻き込み全社的に統制され、全国どこのお店でも顧客体験を重視したプロモーションが実施されています。

ヤマハ発動機

ヤマハ発動機は、“コンセプト・卓越した技術・デザイン”が経営の根幹であるとの社内の共通意識を醸成し、“デザインは企業の想いそのもの”という考えを加味したうえでデザインの機能を一部内製化(デザイン本部を設置)しています

キヤノン

キヤノンは、社内のデザインのスキルセットを集約してシナジーを生むことで産業競争力強化を図るためにデザイン室の統合を行い、名称を総合デザインセンターに変更して会長・社長直轄の組織として位置付けています

②デザイナーの立ち位置

戦略的に最上流からデザイナーが関与しているケースをご紹介します。

NEC

NECでは企業としてどのようなビジネスに取り組んでいくかという構想の段階からデザイナーが入ります。

デザイナーは顧客インサイトなどのより潜在的な課題の発見・掘り起こしと、それらの課題を解決するデザインを求められ、もはやプロダクトデザインの範疇ではなくなっています。

デザイナーへの要求が非常に高い印象を受けました。

この要求に応えられる高度デザイン人材を確保できていることが分かります

●まとめ

このようにデザイン経営の要件を満たす企業の事例が多くあることが分かりました。

「う~ん、でもな・・・」と感じられた方も多いのでは?

疑問

先にも述べた通り、デザイン経営が浸透していない現実とその理由がここにあるのではないでしょうか。

デザイン経営の実践企業として事例掲載される殆どの企業が大手企業かBtoC企業なんですね。世の中の殆どが中小企業とBtoB企業なのに、成功事例の殆どが大企業かBtoC企業である違和感たるや半端ないです。

デザイン経営の成功事例

デザイン経営宣言の成功事例分類私の論文では、

中小企業やBtoB企業に浸透しづらい理由を探究し、中小企業やBtoB企業でもデザイン経営を実践できる追加要件を導き出すことが目的になります。

~続く「デザイン経営が中小企業に浸透しづらい理由」~

破壊的イノベーションとオーバーシューティング

イノベーション

大学院(MBA)で、破壊的イノベーションの成功事例としてパーク24社を取り上げました。時間貸し駐車場市場におけるイノベーションを、時間軸で論じています。その課題の要点をまとめて3分で読めるボリュームに要約しました。
●キーワード

破壊的イノベーション/オーバーシューティング/駐車場ビジネス/連続的イノベーション

———-index————-

①はじめに

②昭和の時間貸し駐車場

③平成の時間貸し駐車場

④令和の時間貸し駐車場

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①はじめに

「時間貸し駐車場ビジネス」を題材に、破壊的イノベーションとオーバーシューティングについて、昭和、平成、令和という元号(時間軸)で論じています。

パークロックシステムを利用した24時間無人の時間貸し駐車場「タイムズ」を展開するパーク24社は、これまでの時間貸し駐車場の概念を根底から覆すサービスで市場に現れて、瞬く間に市場を独占した企業です。

パーク24

しかし、今まさに次の時代の破壊的イノベーションが忍び寄る私は見立てた仮説を立てました。

有人駐車場(昭和)から無人駐車場(平成)へ、そして次の「新しい概念の時間貸し駐車場(令和)」まで3世代に渡るオーバーシューティングと破壊的イノベーションについて調査しました。

●昭和の時間貸し駐車場

昭和の時間貸し駐車場の特徴は、

・管理人が駐在すること

・料金体制が時間割りより日割りであること

・営業時間が限定的であること

にあると言えます。

それ以外のサービスとしては、パーキングメーターという無人の駐車場が登場します。60分という制限があり60分を超えると違法駐車になるため、決して使い勝手の良いサービスとは言えないのかもしれません。このように昭和の駐車場サービスの主流は有人駐車場であったことが分かりました(akippa株式会社調べ)。

駐車場ビジネス

●平成の時間貸し駐車場

平成に入り突如現れたパーク24社、彼らが提供した駐車場サービスの特徴は、

・無人

・時間割で低価格

・24時間365日

にあると言えます。

環境変化の恩恵を受け著しい成長曲線を描き1999年には上場まで果たしてしまいます。

環境変化の恩恵とは、

  • バブル崩壊後の不景気のなか土地活用で悩む投資家に対し、固定的な安定収入を提供できるサービスであったこと
  • 法改正があり路上駐車の取り締まりが急激に強化されたためドライバーにとって駐車場が必要不可欠になったこと

です。

革新的なサービスを安価で提供できたうえに環境変化にも恵まれたパーク24社は、平成においてそのシェアを84.1%にまであげていきました。

急成長

パーク24社は、駐車している間に洗車をしてくれるサービスなど継続的なイノベーションを実施しているが、もしかするとオーバーシューティングでイノベーションのジレンマに陥るかもしれない。

令和の破壊的イノベーションの足音が聞こえ始めている。

※オーバーシュートについてはこちら(神戸大MBA)

≪一部抜粋≫

経営学やマーケティング論において「オーバーシュート」とは、メーカーが顧客の望んでいる以上の品質や性能の製品を開発して市場に出してしまうことであり、日本企業による「過剰品質」「過剰仕様」を指摘する場合などでよく用いられる。

●令和の時間貸し駐車場

最近目にするようになったのが、無人・無ロック、の時間貸し駐車場です。私の自宅付近だけでも2か所ありますし、令和3年現在では餃子の無人販売所が流行していますね。古くは田舎の野菜無人販売所に見られる信用のうえに成り立つビジネスモデル、利用者のリスクと事業者のコストの塩梅が見られる日本ならではのビジネスモデルと言えるのではないでしょうか。

信用

この無人・無ロック駐車場は、精算機が1台あるだけでロック版がない状態でサービスを提供しています。つまりその特徴は、

・イニシャルコストを削減できるため地主のリスクを軽減できること

・提供価格が通常のコインパーキングより非常に安いこと

にあると言えます。

その他にもCtoCで駐車場を時間貸しするプラットフォームを作ったakippa社なども顧客同士の信頼と信用のうえに成り立つビジネスであり、貸主と借り手の新しい価値観で市場が成り立ち始めています。

今のところ破壊的イノベーションが起きているとまでは言えないが、DXが進む令和の時代に何か起こりえる可能性は高いと感じています。

以上