中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~デザイン思考~

この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由が組織構造上にあることについて論じた部分の要約になります。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー

中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑫になります。

森田昌希プロフィールついてはこちら

●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/中小企業/BtoB/デザイン思考/デザインのアウトソース


●デザイン経営の実践要件

しつこいですが、デザイン経営の実践要件は大きく言うと2つあります。

  1. 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること
  2. 事業戦略の最上流からデザインが関与していること

前回の投稿では、社内に経営感覚を持つデザイナーを抱えることは現実的でないためアウトソースで充分なのだが、デザインに関する意思決定が事業部に落ちてしまっている問題点を指摘しました。

デザインに関する意思決定には上流から関与する必要があり、

そのためには経営層が外注先や事業部との共通言語を持つ必要があることを提唱しています。

デザイン思考

●中小企業に浸透しづらい理由_デザイン思考

デザイン的意思決定を経営の最上流に移行する場合に必要なツール、それが経営層と事業部と外注先の共通言語となるデザイン思考です。

※デザイン思考についての要約はこちら

しかし、直ぐに大きな問題に直面します。

中小企業の経営者や経営層はデザイン思考というスキルを持っていないことが多いです。

また、中小企業経営にデザイン思考が効果的であることの実感はまだまだ薄いです。

ただ、デザイン思考とは先天的なスキルではなく、後天的に誰でも体得できるスキルであることは以前にも論じている通りです。

研修などで経営層と部門長が体得していくことは十分可能です。

教育だけでは不十分です。それなりに組織や評価制度のマイナーチェンジが必要です。


●3つの準備

デザイン思考を組織的に学び、組織的に活用していくためには準備が必要です。

  1. 教育
  2. 組織構造
  3. 評価

1.デザイン思考の教育・研修を、経営層と事業部責任者(外部研修を活用)で実施する。

2.組織構造を部分的に変更する。具体的には、デザインに関する意思決定を上位機関に格上げする。そして、意思決定機関で共感に始まりプロット&テストまでの一連をアジャイルで進めていく仕組みを準備します。(※研修で学んだ仕組みを意思決定機関に落とし込む)

3.評価制度を変更する。既存の人事評価のままでは事業部にインセンティブが働きません。定量的に評価しないことを前提とする枠組みでプロジェクトを組む必要があります(最大の難所)。

ハードル

簡単ではないです。

簡単にデザイン経営は実践できません。

だって、競争優位を組織的に獲得する術なのですから。


●まとめ

ここまでは、なぜ要件を満たすことができないのか?

最後に、どうすれば要件を満たすことができるのか?

そして必要な組織的な準備について論じてきました。

デザイン経営の疑問

言葉にすると簡単ですが、実際は困難です。さらに、事業特性も加味して実行するのは非常に困難です。
更に深堀りするため、次の投稿では「BtoBでは?」「サービス業では?」という視点で論じていきます。


(続く)

~BtoB企業でデザイン経営が浸透しづらい理由~