この投稿は、デザイン経営が中小企業やBtoBや製品を持たない事業者では導入しづらい理由が組織構造上にあることについて論じた部分の要約になります。
戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約⑩になります。
●キーワード
デザイン経営/デザイン経営宣言/中小企業/BtoB/CDO/これからのデザイン経営/デザイン思考/デザインのアウトソース
●デザイン経営の実践要件
2つありましたのでおさらいしておきます。
⑴ 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること
⑵ 事業戦略の最上流からデザインが関与していること
前回の投稿でも論じましたが非常にハードルが高いんです、中小企業にとっては。
実際に経産省のデザイン経営宣言の成功事例集をでも大企業やBtoC企業の事例が殆どを占め、99.7%を占める中小企業の事例が殆どありません。この違和感を無くし、中小企業でもデザイン経営を実践し、産業競争力を強化して初めてデザイン経営は社会に浸透したと言えるのではないでしょうか。
なぜ要件を満たすことができないのか?
どうすれば要件を満たすことができるのか?
この2つのアプローチから中小企業でもデザイン経営を実践できる新たな要件を私の論文で導きました。
●中小企業に浸透しづらい理由_CDOの存在
デザイン経営が中小企業に浸透しづらい理由は、デザイン経営の実践要件1と2を満たすことが難しいからです。
ものすごくシンプルです。
⑴ 経営層(意思決定機関)にデザイン責任者がいること
中小企業でお勤めされた経験がある方なら分かると思いますが、CDOがいる中小企業なんてあります???
「経営感覚を持つデザイナー」と表現されていますが、そんな方が中小企業にいらっしゃいます???
(※「キーパーもできるストライカー」が昔の鹿児島実業にいたのを思い出しました)
デザインを主幹業務とする会社を除けば、経営層にデザイナーがいる中小企業は稀有であると言い切っても良いと感じます。経営感覚を持つデザイナーと表現されるような高度デザイン人材を中小企業が保有することは、現実的ではないと感じてしまいます。
このような高度な人材を採用するどころか、
中小企業ではデザイナーを自社に抱える余裕さえないのが現実です。
「宣言では社内にデザイン部門を抱えるメーカーなど大企業を想定していました」
(永井,2021,『これからのデザイン経営』p.85.)
と足らずであったことを永井氏(2021)も自著で顧みています。
●まとめ
社内にデザインに関する意思決定を行える高度人材がいない(採用できない)ことを前提とすれば、そのリソースを社外に求めることになります。
しかし、作業を外注するという成果が重視され、プロセスは軽視されがちなのが現実と考えます(経験談)。
デザインをアウトソースしつつデザイン経営を実践するための要件は何か?を次の投稿で論じていきます。
続く~中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~デザインのアウトソース~